働き方改革。
今は会社の中の正規、非正規という構図で非正規の底上げを図っているが、
そのうち、組織対フリーランスという構図に変わってくるのではないか。
というのも価値づくりの底流が、組織ぐるみのパフォーマンス志向から、個人能力のつなぎ合わせによるパフォーマンス志向に重心が移ってくるからだ。
日本は、言うまでもなく組織型社会だったが、
アメリカは既にフリーランス型に移行している。
ニューヨークを本拠地にブロックチェーンの分散型アプリやツールを開発しているコンセンシス社は、
最先端のマネジメント科学に基づくホラクラシーというワークスタイルを取り入れている。
その基本方針は、
①役職ではなく役割
②権限の委譲ではなく分散
③社内政治ではなく明確なルール
④大きな改善ではなく小さな改善の繰り返し
⑤構成員は独立と支え合いのちょうどいいバランスを目指す
⑥仕事の仕方は自立したエージェント同士のコラボレーション
ブロックチェーン・レボリューション(ダイヤモンド社)より
僕の主観で、敢えてイメージ化すると、
「完全にフラット化した個々の塊(パフォーマー)が上の指示を受けずに、明確なルール、役割をもってモノ・コトを作り上げていくゆるやかな集まり」
かな。
副業解禁の流れも、組織から個人への大きな流れの一環と考えるとわかりやすい。
会社は、例え、家でデイトレーダーをしていようと、会社で一定のパフォーマンスを発揮してくれれば構わないという考え方になってくる。
これからは、会社の機能が細かく細分化され、構成員はそこにはまるものを提供してくれれば必要十分という方式になってくるのではないか。
その中で会社が成長を保つには数あるピースの中で、高度の専門性が必要とされるものや自社にはないイノベーションを起す「ピースを探し当てる」ことが重要になってきている。
我々人材側から見ると、普通の人が到達できない専門性を持つか、
世界にある様々な知識を組み合わせて今までにないものを生み出す能力を持つことが求められている領域だ。
そして、本格的なAIの時代になると、専門性の領域をAIが代替するようになるだろう。
残るは後者だ。
『世界から猫が消えたなら』や『四月になれば彼女は』の著者 川村元気氏は、気づく力が大事と言った。
情報はある。インターネットで取り放題だ。
自分が遭遇する無尽蔵の情報から、自分の問題意識に触る情報に気づくか否かが大事ということだろう。
もっと言えば、問題意識に合わせ、情報を引き寄せること。
しかし、自分の経験から言うと、この問題意識を持っているかどうかの方が大事で、
日頃からそれを持つことにより、一見、それと関係ない事象に、ハッと気がつき、
関連付けられる、そういう訓練が大事な気がする。
多くの会社が副業OKに走り出す動機の本音は、社員のつなぎ止めだと思う。
シェア社会の進展で有能な社員は余った時間を他の収益モデルにコミットしたい。
実際、副業なし正社員でいるよりもフリーで色々な収益機会を築いた方が身入りが良い社会になってくるだろう。
企業側は辞められるよりも、該当社員の能力のメインを自分の会社で発揮してもらいたい。
そんな狙いが透けて見える。
但し、企業の本音は、能力・成果が見える社員に対しての施策であって、
副業によって会社の期待するパフォーマンスが下がる社員は、肩たたきに合うシステムでもある。とも思う。
2016年の日本の出生数が100万人を割った。
日本は高齢化先進国だから、このトレンドが全世界のトレンドになる。
人類は自らの子孫出生抑制という生物前代未聞の要因で滅亡へ向かうステージに入った。
そこにある大きなインサイトは、恐らく「個人最大幸福主義」だ。
他人よりも、家族よりも、子供よりも自分の今の幸福にプライオリティを置く風潮だろう。
2020年に、60歳以上が3分の1を超える状況では、選挙における若者の1票の価値を高齢者の2倍にでもしない限り、変えられないのではないか。
一方、この「個人最大幸福主義」からすれば、高齢者も何も介護を受けてまで生きていたくはないというインサイトがある。
この意識がもっと顕在化すれば、健康なうちに死ぬ権利を獲得するという
これまたこれまでの倫理観を覆す社会が訪れる可能性もある。
人間何が一番幸せな状態なのかというと、いくつかあると思う。
僕の考えだが、その一つは
「自分の目標に向かって突き進んでいる時。それを通じて成長感を味わっている時。」だ。
だから、目標が達成されてしまうと、一瞬の幸福感は味わえるが、
その後すぐ喪失感が現れ、長い間苛まれる。
何故なら、成長感が失われるからだ。
このことは長年生きてきてわかってきた。
アフター60は、サラリーマンというレールからはずれ、人生の中で、未知の世界であり、かつ身体や記憶力が衰えていくステージだが、
仕事にしても、研究にしても、趣味にしても、健康にしても、何らかの目標を設定して、成長感を失わないテーマを見つけることが大事だ。