AI時代の泳ぎ方

AI時代のリスキリング論

tom's eye 138. 時空を超えた知識創造の仕組みづくりが問われている

今後のマーケティングの動向を洞察したうえで、
これから起ることの3つの潮流のうち、その②は知識創造行為の再構築だ。
  
背景には第4次産業革命がある。
ざっくり言うと、人類はものづくりが価値を生む社会から、こと(=サービス)づくりが価値の中心になる社会への移行期に入った。
その中で、人間の脳から生み出される知識が価値を生み、マーケティング上の競争優位をもたらす比率が圧倒的に高まる
 
では知識創造はどうなされるのかと言うと、
ある目的達成に向けて工程があるとすると、その工程別に、専門性を持った人たちが集まり、知恵の擦り合わせをする。そこに新しい知識が生まれる
そして、それを右から左に受け渡し、また次の擦り合わせをしていくというイメージだ。
つまり、複数の専門能どうしの擦り合わせが一番大事ということになる。
 
それでは、新しい時代にこのプロセスをどう再構築して、競争優位を確保したらいいのだろう。
上記から、いかに専門脳をもった人材を世界最適調達するか
がカギとなる。
 
そのうえで、いかにIT技術を使って時空を超えた知識創造プロセスをつくるかだ。
 
そのためには2つの要件がある。
 
①空間を超えて集まれる場所をつくること=サイバー空間
②時間を超えても擦り合わせができる仕組みがあること=チャット空間
つまり、知識創造のチャットプレイスを作ることだ。
 
また、工程ごとの受け渡しを円滑にするために、工程ごとの成果の管理システムが必要。
これは、クラウドを使って、工程ごとのまとめを作り、受け渡していくイメージ。
 
昨今のIT技術からすれば、仕組みさえ作れば、今からでもできる時代なのだ。
 
とはいえ、人どうしが顔を突き合わせつつ、進めないとやはり不安というのが経営者やマネージャーの心理だろう。
 
しかし、マーケティングが価値づくりだとすれば、世界中から優秀な人材を集めて、知識創造行為の再編集をやらずに競争に勝てない。
 
だとすれば、こういった時空超越の価値づくりの仕組みは必須の条件だろう。
 
もうやっている会社はかなりある。
 
         

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世界から調達した人材がチャットプレイスで知識創造
 
 

tom's eye 137. 書籍は消えるのか(未来の読書のカタチ) ​

今日は電子書籍に焦点を当ててみよう。
 
出版市場の縮小が叫ばれて久しい。
2018年上半期の紙+電子出版市場は7827億円(前年同期比5.8%減)
紙の出版物推定販売金額は6702億円(8%減)
一方、電子出版市場は1125億円(9.3%増)
しかし電子出版の中身はコミックが864億円(11.2%増)、雑誌が108億円(3.6%減)、
文字ものが153億円(9.3%増)と文字ものの比率はまだ小さいのが現状。
(出版科学研究所)
 
ざっくり言うと、コミックや雑誌を除く書籍全体で、
電子書籍の占める割合は4%しかなく、
成長しているとはいえ、全体に与えるインパクトはまだまだ小さい。
 
 
一方、読書をする人が減っているという実態データも数々ある
一例を示すと、全国大学生活協同組合連合会は2018年2月、全国の大学生の生活実態調査を発表した。53.1%が1日の読書時間を「0分」と回答。
つまり、過半数の大学生が全く本を読んでいない。
 
では、このまま書籍は消えていくのか?
筆者の答えはノーだ。
そしてその形態はリアル書籍からは電子書籍に代わっていくだろう。
 
その理由は以下。
 
本という形態で読書する人が減っているという実体はあるが、人々は常時スマホを片手に
文字主体の情報に触れ続けている。
 
なおかつ、メールやチャットの普及で文字を使ってどうコミュニケーションするのかという
リテラシーもかつてないほど上がっていると思う。
つまり、文字による情報吸収意欲や活用意欲は一向に衰えていない
のだ
 
最近、「東大読書」など読書の仕方を説く本が盛んに出回っているが、
筆者なりにその背景を分析すると、
この情報洪水社会の中で、自分の血肉になる情報を
どう取り入れるべきかという悩みが広がっており、
それに対する答えが、このような読書法の指南本なのだと思う。
 
そして、その要諦を言うと、十中八九、「全部読む必要はない」、
必要なところだけ読め」、「それを脳に刷り込め」と言っている。
 
これは近未来の知識吸収のカタチを示していると思う。
 
そしてその時、文字を中心とする情報は電子という形態で
あった方が圧倒的に使い勝手がいいのは自明だ。
 
想像してみよう。
数ある書籍から自分に意味のある情報をクラウドにストックしておき、いつでも好きな時に
引き出し、反芻するできる環境の方が便利に決まっているではないか。
 
これが筆者が書籍がリアルから電子に移行していくことの根拠である。
 
下図がそのイメージだ。
 
自分のスマホには、クラウドにつながる自分が読んだ書籍の自分図書館がある。
そしてその中で、自分にとって意味ある珠玉の文章を抜き出したノートストック
も別途ある。
 
それを必要に応じて引き出し、活用するという流れだ。
 
デジタル革命が加速するこれからが、リアル書籍から電子書籍への
移行が進む時期だろうと見る。
 

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電子書籍で自分図書館をつくる

tom's eye 136. 将棋棋士のAIとの共創をマーケティングに応用すると ​どうなる?

今日12月21日は竜王戦最終決戦 羽生竜王対広瀬八段の運命の第7局2日目が進行中。
 
ちなみに先日、藤井聡七段が最年少で100勝を達成した。(2018年12月12日)
 
藤井世代はAI(コンピュータ将棋)を幼いころから自身の実力アップに取り入れた最初の世代
と言えるだろう。
 
ご存知の方も多いが、AI将棋はすでに人間のはるか先を行っており、AI対人間の勝負をしても、
人間はもはや勝てない。
 
あらゆる産業の中で、将棋界はもっともAI活用が先行している業界
と言ってもいいだろう。
 
では、その先端を行っている将棋におけるAIの活用法のキモは何だろう。
 
筆者のドグマだが、それは2つあると思う。
 
第1は、選択肢を広げてくれること
天才棋士と言えども従来は人間の脳では考えつかなかった次の一手を教えてくれるのだ。
それも数百手先まで読むという深い裏付けがあっての次の一手だ。
その思いもつかなかった次の一手を目のあたりにして、どのプロ棋士も「あゝこの手が
あったか!」と唸る。
 
第2は、現状の立ち位置を教えてくれること
AIは、一手進むごとに、今どちらがどれだけ差をつけているかという評価値(写真参照)
を教えてくれる。
プロ棋士にとって、今この時点の形勢がいいのか悪いのかという判断は、まさに次の一手
ひねり出す大きな参考値となるのだ。
 
翻ってこのことから、AIをマーケティング・プラニングにどう活用していくのかを
考えてみよう。
 
マーケティングプランの立て方のプロセスはざっくり言うと、
 
①現状分析(=Where are we?
・関連のあらゆる情報を網羅して、現状の立ち位置を知ることから始まる
・これは将棋のAIが評価値という手段で教え、多くの棋士が参考にしていることからも、
プラ二ングのこのフェイズでも十分活用できるということだ
 
②課題抽出と戦略立案(Where to go?
・①を元に、目標達成に向けてどう動くのかの選択肢を列挙し、判断する
・これも将棋のAIは次の一手という示唆を与えてくれ、棋士の選択肢を広げてくれ、
なおかつ深い読みの裏付けという根拠も提供してくれる
 
③EXECUTION(Let's do it!
・そして、あとはやるだけだ。
 
したがって、このようなフレームで、AIに教師データを与え、深層学習させていくのが、
マーケティング担当者としては、将来のAIとの共創の姿になるのではないか。
 
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tom's eye 135. 未来の知識創造のカタチ ​

 
人間の知識創造の方法とは、
まず、世の中の情報を縦横無尽に取る。
それを自分の頭の中でミングル(混ぜ合わせ)し、自分らしい知恵として世の中に発揮する。
この構造式は古来変わらない。
 
では、これからの未来の様式は何が異なるかと言うと、
自分の知識の外部化ができることが一つ。
 
自分知をスマホ直結のクラウドに溜め込むことによって
今までとは比べ物にならない量を溜め込むことができる
 
もう一つはそこにAIをかませること
それによって、もっと素早く、もっとインテリジェントな活用が
できる
現代はスピードが命だけにこれは大きい。
 
さらにもう一つ言うと、
いくら頭のいい人でも、世の中のあらゆる情報を全て吸収はできない。
そこには無限の情報を有限化するフィルターが必要だ。
 
ではどういうフィルターなのかというと、自分流のフィルターとしか言いようが
ない。
 
それを確立するためには、「自分は何者か」「何に興味があり」
「何を目標に生きるのか」をしっかり自覚するしかない。
 
この「しっかり自覚する」手段として、
自分知のクラウドは重要な役割を果たす
 
僕はそれを「自分の思考基地」※と呼んだ。
 
※拙著「スマホメモ」(CCCメディアハウス刊)より

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tom's eye 134. 「メモの魔力」(前田裕二著)の帯を見て

12月1日に拙著「スマホメモ」(CCCメディアハウス刊)が発売されたのを機に、

この手の本にどのようなものがあるのか調べていたのだが、

いきなりアマゾンの予約ランキングで第1位になった

前田裕二著の「メモの魔力」(幻冬舎 Neswpicks Books)に遭遇した。

彼は今を時めく起業家の一人で、SOWROOMの経営者。

若干31歳

予約時点で第1位とは恐れ入ったが、帯の内容を見てみると、

いま最も注目される起業家・前田裕二による渾身のメモ術! 

・メモで、目にする情報全てをアイデアに変える
・メモで、本当の自分を見つめ直す
・メモで、夢をかなえる
◎メモの魔力を手にした時、あなたは、何者にでもなれる。

 

なるほど、ほとんど自分と同じことを言っているではないか。

人は考えていることは同じだなと思った。

同時に若いのに立派だなと思った次第。

 

一言余計な感想を言わせていただくと、

「自分のメモが将来AIにつながる」ところまで言及しているかどうか見てみたい。

 

12月24日が楽しみだ。

 

        

 

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

メモの魔力 The Magic of Memos (NewsPicks Book)

 
スマホメモ 仕事と人生の質を上げるすごいメモ術

スマホメモ 仕事と人生の質を上げるすごいメモ術

 

 

 

  

tom's eye 133. 地方創生の切り札:AIで都市・地方間の利便性の逆転が起る

東大の五神(ごのかみ)総長が登壇するセミナーを聴講した。

 

五神氏は元々物理学者で、政府主宰の未来投資会議のメンバー。

22回の会議を通じて、AIが社会に与える影響をこう総括した。

 

「AIを使って、スマート〇〇を実現とよく言われるが、それはどんなメリットをもたらすのかと言うと、

例えば、スマート農業は、小規模耕地で高い生産性を達成することができることが実証されいている。他の領域でも同じことができており、

つまり、細々とした個別に対応するようなことが、スマート〇〇で実現できることだ」と言う。

 

これまでは、“大規模、労働集約”が成長のキーワードであったが、これからは、

知恵が価値を生み、個を生かす社会」になる。

 

そのことで、「都市・地方間の利便性の逆転が起る」とも述べた。

 

確かに、地方のスマート化=細々としたことに対応し、不便を解消してくれる社会が進めば、住む環境としては、自然に隣接している田舎の方が住んでいて気持ちいいはずだ

 

 

こういった目線で地方創生のグランドデザインを進めることが鍵かもしれない。

 

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tom's eye 132. トランプ後の世界~これからの社会像①世界が一つになっていく

Tom's eyeでは、今後のマーケティングの動向を洞察してきたが、その総括として、
これからの社会像に焦点を当てて、3つの潮流として浮き彫りにしてみたい。
今日はその一つ目。
 
この50年で人類の生活ライフスタイルに最も影響を与えたもの
は何か。
それはスマホであろう。
道を歩いていても、電車の中でも、はたまた家の中でも人々はスマホに見入っている。
枕の横にスマホを置いて寝ている人もすくなくないのではないか。
 
スマホは何故それほど人を魅了するのか。
 
その理由は拙著「スマホメモ」でも書いた通り、一つは世界の情報を瞬時に取り入れる
世界のファインダー機能
 
もう一つは、瞬時に世界の人々とつながる機能だ。
 
つまり、世界単位での情報のやり取り、世界単位での人々のつながりが日々濃密になっている。
このことは、間違いなく世界が一つのマーケットになっていくことを
示唆している。
 
何故なら、そういうやり取りが助長されることによって、人々の興味範囲が世界単位になって
きているからだ。
 
既にビジネスは国境を越えているが、人々の移動も世界単位なってきている。
移民はその一つの証左だ。
世界の情報に接して、もっといい国、もっといい生活を知り、人々は移動を始めている。
 
2017年トランプ大統領が出現して以降、貿易戦争や移民制限など、人々や国の分断や
分裂がクローズアップされているだが、
大きな潮流で見れば、世界が一つになっていく前ぶれとしての反動
現象なのではないか。
 
つまり、これからの社会像①は「世界が一つになっていく」だ。
 
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