セブンイレブンのPB商品は、既に1兆円を超えている。(2016年度売上げが1兆1500億円)
かつてそこに納入するブランドのメーカーを担当していた筆者は、メーカーの方たちが、コンビニやスーパーのPBブランドが幅を利かせることに頭を悩ませていたのを目の当たりにしていた。
しかし一方で、「PB商品は、私たちメーカーのナショナルブランドのような品質とブランド力がない」とうそぶいていたのも事実だ。
しかし、「棚割りの権利は小売り側にある。だから、ウチの商品の品質の方が良くても、我慢せざるを得ない」と。
それから時がたち、何が起こったかというと、PB商品の勢いは停滞するどころか、ますます幅を利かせ始めている。
品質やブランド力=信用力が格段に高まり、消費者が積極的に手を伸ばし始めているからだ。
今セブンではどのナショナルメーカーよりも安いカップラーメンを113円(税抜き)で売っている(定価での話)
PBには、品質力やいわゆるブランド力がない。だから伸びないだろう。といメーカー側の希望的観測は見事に覆されたわけだ。
そしてアメリカでは、アマゾンがネット通販によってこれを実践し始めている。
乾電池、赤ちゃんのお尻ふき、旅行ケースなど。
最初はブランド力の大していらない最寄り品からだが、これがどんどん多ジャンルに進出するのは見えている。
今アメリカでは、メーカーは静かなる死を迎えるしかないとも言われている。
このことは何を意味するのか。
消費者と接点を持っている企業が勝つということだ。
IT企業はその頂点にいるとされている企業だが、中でもアマゾンは、アップルやフェイスブックなどよりも成長余力が高いと言われている。
それは、生鮮食品も含めて、あらゆる業態で消費者、顧客との接点を持ち始めているからだ。
アマゾンは今や、あらゆるモノの売り買いに手を出し、エコシステムを変えつつあるが、その競争力の原点は、カスタマー・オブセション。
すなわち徹底した顧客志向だ。
かつて筆者は、日本での最終小売り戦争はアマゾン対セブンになるだろうと書いたが(Tom’s eye 93)、そこにメーカーやIT企業の名はない。
ここまでくれば、消費者との接点を持つ企業が優位に立つというのは自明の理だろう。