AI時代の泳ぎ方

AI時代のリスキリング論

tom's eye 111. 選挙で圧勝後、新安倍政権は何が問われるか

2018年10月22日の選挙で自民党が圧勝し、安倍政権の続投が決まった。

あまり政治の話は自分の守備範囲ではないが、一つ感じていることを記す。

個人的な関心は、国民の期待や関心は何に移るだろうということ。

消費税の使い道変更、全世代型社会保障への転換だろうか。否

筆者は「賃金の劇的上昇」だと思う。

 

20日の日経新聞に面白い比較が載っていたので、それを整理してここでご紹介すると、

アベノミクスの4年間は民主党時の3年間とどう違うか

GDP 年率1,1%(民主党時 1,8%)→ 民主党時の方が高い

②雇用正規+20万、非正規+210万(民主党時 -50万、+80万) → アベノミクス時が、200万人多い

③所定内給与上昇率 0,5%(0,4%)→ トントン、双方とも低迷

④加えて、アベノミクス時は、株価2倍、地価の上昇が特徴。

 

つまり、アベノミクスを総括すると、

圧倒的に雇用を増やしたことと、金融資産を増加させたことが成果だ。

 

だから、資産を持ってる富裕層が得したなということと、

でも自分の給与は上がってないから実感のわかないというサラリーマンが大半

というのが今の国民の感覚だろう。

(雇用の大幅増という面では、民主党時のような失業の恐怖からは免れたけどね)

 

今後は、この実感のわからないサラリーマンの給与をいかに劇的に増やせるかどうかが勝負と予想する。

 

  

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tom's eye 110. 自分の人生をブランディングできる時代

​レッテルは大事だ。

何故かと言うと、大半の人間は自分を知らないのだから。増してグローバル時代になって、世界中の人と交流がはじまるのだから尚更そうだろう。

 

人はその人間を知らない時、レッテルで判断する。

 

例えば、エネルギー政策研究所の人が原子力発電の今後を語る時、相手は耳を傾けるだろう。その人が経理や総務担当だろうと関係がない。

 

だとすると、若い諸君がキャリアプランとして、3〜5年後、どんなレッテルを持ちたいかは重要なイシューだ。

 

もし、僕が学生だったら…

間違いなく東大というレッテルは目指さない。(どうせ入れないという議論は置いておいて)

自分は文系だったが、「頑張って理系の大学に入って、在学中にシリコンバレーイスラエルで2年VBにチャレンジしました…」かな。

 

もし、20代前半だったら…

クラウドワークスで、データサイエンティストとして2年間ビッグデータ分析のナビゲーション業務をやってました…」かな。

 

これだけ情報化社会になると、レッテルをイメージすれば、自分の人生をブランディングできる時代だ

 

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​tom's eye 109. コンテンツの進化 VR×学習系のコンテンツの可能性が増す

一瞬何のことかわからないだろうが、筆者に言わせればこういう理屈だ。

 

マーケティングは人間の解明に向かっていく。

 

人間は「成長」と「快楽」を志向する動物だ。

元々リアル世界しかなかった人類が、コトバという記号やビジュアル、音楽や動画という脳に心地よい暗号をパッケージにして、自分たちの生活に取り入れ始め、そして、昨今のITの変革により、サイバーやVRの世界でもより進化したカタチのものを手に入れ出した。

 

これをコンテンツと呼ぼう。

 

「成長」は学習系コンテンツ「快楽」はエンターテイメント系コンテンツを消化しながら、人は成長し、生活を楽しみ、人類は進化する。

 

この図を見てほしい。コンテンツの進化を示したものだ。コンテンツの進化は間違いなく、右方向に進んでいる。

 

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書籍を代表とするテキスト系から、マンガ、コミックなどの静止画(ビジュアル)系へ、静止画系から映画、ドラマなどの動画系(含音楽)へ、

そして、これからの流れは、動画系からVR系だ

 

今後、VR系の広大なフィールドでのコンテンツの戦いが始まるだろう。

 

同時に、筆者にはエンタメ系コンテンツもさることながら、学習系コンテンツに大きなポテンシャルが見える

 

何故なら、AIの進化により、高度知識社会が訪れるからだ。

 

かつて人間がやっていた比較的高度な知識労働をAIが代替するのは世間で言われている通りだが、

それをコントロールする人間には、それ以上に学習が必要になってくるからだ。

 

 

VR系は、今後雪崩を打ったように学習系コンテンツの開発が進んでいくだろう。

 

 

 

     

​tom's eye 108. 将来の人間とAIの関係から商品の選択行動はどう変わるか

最近、アマゾンの「ダッシュボタン」で購入していた洗剤にやや飽きたX氏は、AIにこう話しかけた。

​「ねえ、アレクサ、ちょっと洗剤を変えてみたいんだけど何がいいかな」

画面にいくつかのブランドが現れた。一番右のは見た事ないんだけど新製品かい?」

「はい、3ヶ月前にライオンから出ました」

「評判はどうかな?」

画面にいくつかの口コミが現れた。

「ふーん、悪くないな。一回試してみるか。アレクサ、オーダーしておいて」

「はい、わかりました」

これで購買行動完結。

 

ここからメーカーのマーケティングはどう変化するか類推する。

 

まず、横並びの製品比較でいかに優位性を作るか=比較プレゼンテーションの進化(おそらくビジュアル要素、動画要素も加えられていくだろう)

 

次に、消費者が評判を知りたいと言った所でいかにいい生声を出現させるか

カスタマーエクスペリエンス情報が価値化する、

また、評判のビッグデータ化と可視化が進展

 

態度変容はこの2点にかかってくる。

 

でもいずれも中立データというのがミソだ

 

メーカーが自社に有利な情報をはめ込もうとしても、この文脈にはなかなかはめ込めない。

一方、AIはこの横並びの基準や口コミの上がってくる基準を作ろうとする。しかし、いずれも生活者の要求に近い形で収斂されていくだろう。

 

生活者主導社会の一断面だ。

 

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tom's eye 107. モチベーションの重要さ

先日、中国駐在を長く続けている方から今の中国の状況をご教授頂いたが、

日本にいるとわからないだろうが、中国はもう日本を追い越していると力説されていた。

もちろん、企業力とか経済力とか経済面での話なのだが、

僕が中国に着任した2006年頃、今から10年前は、日本企業に「何でもかんでも教えてください」というスタンスだった

 

それが5年前には、かなりキャッチアップしたなという実感を持って僕は帰任した。

 

そして5年が経ち、完全に追い越したよという発言。

 

一人の人間レベルで考えると、最初はなにもわからないジュニアだったが、

10年切磋琢磨した結果、世界でも誇れる人間に成長したという言い方もできる。(もちろん一部の人間だが)

 

話は突然前後するが、今インドにいる。

 

街歩きをしていても、人と動物(牛とか)とクルマが混然とうごめいており、クルマに乗っている人たちは富裕層、道路を歩いている人たちは貧困層と、貧富の差が、まだ歴然としている社会だ。

 

そんな国でもトップクラスの人たちは世界のIT企業で活躍しているし、その予備群も続々と現れている

 

後5年、10年で今の中国のような軌跡を描いて成長するのではないかと感じる。

 

何を感じたかと言うと、人間一代でもこんなに変われるんだと言うことだ。

世の中の変わり方は速い。

 

その中でやはり、教育って大事だなということ。

 

しかし、その中でも最も大事なのは、「モチベーション力」だ。

 

「やってやる」という意欲を高め、持ち続けると人間は変われる

 

特に、ネットが普及して、教育関連のコンテンツはほぼ無料で手に入る時代になって、

教育はそこが焦点になるだろう。

 

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​tom's eye 106. これからは消費者に近い企業が勝つ。これは自明の理だ。

セブンイレブンのPB商品は、既に1兆円を超えている。(2016年度売上げが1兆1500億円)

かつてそこに納入するブランドのメーカーを担当していた筆者は、メーカーの方たちが、コンビニやスーパーのPBブランドが幅を利かせることに頭を悩ませていたのを目の当たりにしていた。

しかし一方で、「PB商品は、私たちメーカーのナショナルブランドのような品質とブランド力がない」とうそぶいていたのも事実だ。

しかし、「棚割りの権利は小売り側にある。だから、ウチの商品の品質の方が良くても、我慢せざるを得ない」と。

 

それから時がたち、何が起こったかというと、PB商品の勢いは停滞するどころか、ますます幅を利かせ始めている

品質やブランド力=信用力が格段に高まり、消費者が積極的に手を伸ばし始めているからだ。

今セブンではどのナショナルメーカーよりも安いカップラーメンを113円(税抜き)で売っている(定価での話)

 

PBには、品質力やいわゆるブランド力がない。だから伸びないだろう。といメーカー側の希望的観測は見事に覆されたわけだ

 

そしてアメリカでは、アマゾンがネット通販によってこれを実践し始めている

乾電池、赤ちゃんのお尻ふき、旅行ケースなど。

最初はブランド力の大していらない最寄り品からだが、これがどんどん多ジャンルに進出するのは見えている。

 

今アメリカでは、メーカーは静かなる死を迎えるしかないとも言われている。

 

このことは何を意味するのか。

 

消費者と接点を持っている企業が勝つということだ。

 

IT企業はその頂点にいるとされている企業だが、中でもアマゾンは、アップルやフェイスブックなどよりも成長余力が高いと言われている。

それは、生鮮食品も含めて、あらゆる業態で消費者、顧客との接点を持ち始めているからだ。

 

アマゾンは今や、あらゆるモノの売り買いに手を出し、エコシステムを変えつつあるが、その競争力の原点は、カスタマー・オブセション。

すなわち徹底した顧客志向だ。

 

かつて筆者は、日本での最終小売り戦争はアマゾン対セブンになるだろうと書いたが(Tom’s eye 93)、そこにメーカーやIT企業の名はない。

 

ここまでくれば、消費者との接点を持つ企業が優位に立つというのは自明の理だろう。

 

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​tom's eye 105. 老人は何故お金を溜め込むのか

老人は何故お金を溜め込むのかについてずっと考えている。

 

まさかの物入りの時のために。

 

それは正解だが、これは年代を問わず人類の知恵だ。

 

老人はこれに、これからフロー所得を大して稼げないという大いなる懸念が重なり、どうしてもお金の出費に慎重になる。

 

何故、大して稼げないと感じるのか。

社会の制度の問題もあるが、根底には、体力や記憶力の低下を自覚しているからだ

 

つまり、体力も気力も充実している人生上り坂の若者に対し、将来動けなくなったり、認知症になったりして、人の介護を受け、そして死んでいくしかないという下り坂の人生を自覚している自分との対比がある。

 

これからは人生100年時代と言われ、人の一生のうち、下り坂が格段に長くなる。

下り坂に入った時の人生設計は難しい

 

       

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