AI時代の泳ぎ方

AI時代のリスキリング論

​tom's eye 77. セブンプレミアムは、食品業界のSPA化を促進

セブンプレミアムセブンイレブンのPB=プライベートブランド)が、

1兆5千億の売上げを目指すという記事を見て思った。

 

コンビニ対食品メーカーの関係で見ると、確かに王様と奴隷の感はあるけれど、

PBがどんどん強くなる構図は、衣料品のSPA化の構図と一緒。(ユニクロH&Mなどのビジネスモデルのこと)

 

生活者に近いリテイルがニーズのある商品を読み解いて、それをメーカーにOEM発注するのは時代の流れか。

 

但し、生活者ニーズを読み取る癖のないリテイル百貨店や書店などはいまだにメーカー任せであり、衰退していく。

 

第4次産業革命で生き残る企業の鍵は、幅広い顧客接点を持つか否か

そのビッグデータを使って、未来の顧客ニーズを読み取る力があるかどうかだ。

 

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tom's eye 76. AIの意思決定の動きが外から見える装置が必要

藤井四段が一世を風靡している将棋界、そして、チェス界、囲碁界と

いずれもAIが人間を制する世の中となった。

 

こうした中、アルファ碁を開発したデミス ・ハサビス氏は、 6月4日 日経新聞で、

「​これからのAIは、用途を限定したAIではなく、様々な課題をこなせる汎用AI

AGI=Artificial General Intelligence

の開発が課題になる。」と述べている。

 

確かに、将棋も囲碁も一つの単一なタスクで優劣を競うゲームだ。

 

これからは、マルチタスクの処理を迅速に合理的に処理できるAIの開発の時代に入る、いや入っているということか。

 

自動運転車などは、その恰好な題材なのだろう。

 

そのハサビス氏がもう一つ言っていたのは、

「人間の脳の動きは、MRIを使って視覚化できるが、AIにも暴走を防ぐためには、意思決定の動きが外から見えるこうした装置が必要。」

と述べている。

 

まさに、tom’s eye 75. 「AIのブラックボックスを理解する人間が価値が上がる」で指摘したのと同じ問題意識だな。

 

AIの意思決定の可視化が今後の課題ということか。

 

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tom's eye 75. AIのブラックボックスを理解する人間の価値が上がる

6月25日放送のNHKスペシャル人工知能 天使か悪魔か 2017」は、色々な意味で示唆を受けた番組だった。

番組前半部分の将棋のプロ棋士 羽生3冠の発言で、「もしかしたら人間の頭で考えたものは局所的に過ぎない。その外にはもっと広い銀河が広がっている。」

これが、人工知能と対戦して感じた彼の感想。

 

一方、この春、佐藤天彦名人を破ったポナンザの開発者の山本一成さんは、「人工知能は、どう考えてこの結論を出したのかわからないという域にまで達している。正直言って、恐ろしい時がある。」という発言も興味深かった。

 

番組では、人工知能の思考がブラックボックスになっていることが恐ろしさを助長しているとしていたが、その通りで、

であれば、今後AIに何故この意思決定をしたのかという説明能力を身につけさせれば、人類にとってはより親和性が増すのではないか。と、瞬間的に思った。

 

一方、その翌日の26日に、同じくプロの最年少棋士14歳の藤井四段が、増田四段を破って、29連勝という前人未到の記録を達成した。

 

天才少年現るということで、マスコミのフィーバーぶりが物凄いが、筆者が注目したのは、深浦九段が新聞にコメントした藤井君の強さの秘訣。

 

「彼は、桂馬の使い方が独特で、コンピュータ将棋の感覚に似ているような気がする。コンピュータ将棋の研究を始めたとのことだが、その感覚が体に身についてきているのが今までの棋士にない強さの原因ではないか。」いう趣旨のことを述べており、ピンときた。

 

つまり、筆者はこう解釈する。

 

藤井君の凄い所は、人工知能が繰り出した今までの常識にない指し手が、どうやって編み出されたのか、そのブラックボックスの部分を、彼の脳の中で理解し、ある程度解明してるのではないか。

あるいは、そういう態度が今までにない強さとして指し手に現れているのではないか。

 

そうか。これが将来のコンピュータと人間の関係の一つなんだ。

何らかの目的に関して、WIN-WINに関係しあい、その都度都度の意思決定を相互に高め合う

それがAIとの有力な付き合い方一つなのかもしれない。

 

これからはAIの出した意思決定の意図=ブラックボックスを読める人間の価値が上がる

 

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tom's eye 74. AIと人間の決定的な違い

「​AIと人間の違いは、情動があるかないか

情動とは生き残りたい存在したいという欲求

情動は、アルゴリズムに落とし込めないもので、脳をコンピュータに接続しても、置きかわりにくい。

その力がより重要になるこれからは、むしろ意識して鍛えなければならない。」

 

以上が、有名なロボット学者である大阪大学大学院教授 石黒 浩さんが ハーバードビジネスレビュー2017年5月号『知性を問う AI時代の価値とは何か』で述べていたこと。

 

このあたりは、この tom’s eyeの49~51「生き抜く力とは」 で述べていたことと符合する。

筆者のこのブログの一つのテーマでもあったので、思わず手を打った。

 

石黒氏が、もう一つ述べていたので面白かったのが、

 

「将来、ほとんどの人間が仕事から解放されるだろう

人生を学習と仕事の二つに分けるとすれば、今後,、

学習の比率が八割、仕事が二割と大きく逆転するのではないか。

究極的に肉体を提供する仕事が一切なくなれば、全ての人間が学習だけに専念し、哲学者に変わる。」

 

なるほど。

生涯学習時代の到来』か。

 

筆者もそんな感じがしている。

 

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​tom's eye 73. 流通 次のコンセプト④ 買い方が変わる「3つのレス」

今後10年でもっとも変わること

筆者は、生活者のニーズから考えて、今後、流通では、「3つのレス」が起こると考えている。

 

キャッシュレス

・アップルペイやアリペイ(中国のアリババ)のように、スマホに決済機能を付加して、生活者の口座とリアル店舗のレジが結ばれ、いちいち財布からお金の出し入れをする必要がなくなるサービスが普及。

筆者は既にアップルペイを活用しているが、お金の出し入れがないことが、すこぶる便利。

今はコンビニや一部のスーパー、ドラッグストアのみだが、いずれチェーン店全体に波及していくだろう。

 

プレイスレス

・この意味合いは、場所を問わず、購入を決めたらそこで決済を完結してしまうという買い物行為のこと。

元々ネット通販は、リアル店舗に行かなくても、自宅やオフィスのパソコンを通じて完結してしまうことがウリだったが、

これが、スマホの普及で、これからは場所を問わず、購入→決済という行為が常態化するだろう。

 

ラゲージレス(望めば宅配)

・これはまだ一部のスーパーやコンビニに留まっているが、

高齢化社会が本格化する中で、買ったモノで、

少しでもかさばるもの、重いものは持って帰りたくない」というニーズは、筆者の会社の調査でも、相当高いことがわかった。

宅配物流機能が日々進化していく中で、このサービスも拡大するだろう。

 

  

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tom's eye 71. マーケティングにおける「集積」​のメリットについて考える①

集積」という概念がいかにマーケティングに必要か改めて考えてみたい。

 

認知行為

人が多く集まることで情報を知らせるのは明らかに効果的

 

情報交換行為(会話行為)

色々な人々の色々な会話によって、新しい動機が生まれていく

 

物々交換行為

市場(いちば)に象徴されるように、モノの売り買いの効率が増す

 

これらの3要素が相まって、まずは生産性が格段に上がる

また、働かなくてもいい人が出るなどアロウアンスが生まれる

 

これは、資本主義の原理そのものだ。

小より大の資本の集積つくることによって、より大きなリターンを得ることができるというものだ。

 

だから、世界の都市化は進む

人口という名の「人の集積」によって、そこに住む人々はより大きな便益を得ることができるからだ。

 

一方、人の集まりには秩序がいるので、上下関係、優先順位など人々の格差が広がる

 

つまり、集積とは、人間が生きていく上で絶対必要な方針だが

それに伴って、人々の間に様々な格差が生まれる。

 

「集積=いいこと」という概念は、

人間はそもそも集団で生活を営むという習性そのものから来ているとも言えそうだ。

格差はやむを得ないと言う事か。

 

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tom's eye 72. マーケティングにおける​集積のメリットについて考える②

前回、マーケティングに「集積」は欠かせない方針と述べたが、

 

ITの進化で「集積」がネット(サイバー空間)で行われるようになってきているのが、ここ21世紀に入ってからの変化だ。

 

インターネットというプラットフォーム上で

「集積」に、世界の人々が参画し始めた。

また、売り買いするモノやサービスも格段に増えている。

それだけではない。コンテンツ数のかつてない膨張。

 

この世界で、生き残るには、今までにないリテラシーが必要になってくる。

 

サイバー空間の一番の特徴は、

リアルの世界で感受できていたボディランゲージや会話の口調なども含めた人間の体全体で感じられたものが、ある種限定的になることだ。

 

例えば、伝える手段がどうしてもテキスト(文字)に依存するので、テキスト主導による伝え方技法を習得しなければならない。

 

また、顔を見ずにコミュニケーションする技術などもこれまでとは違うリテラシーが必要になる。(その分周囲への配慮はあまりいらないが)

 

これらは、今までリアルの世界ではなかったストレスを生む。

 

情報洪水=無限の情報をどううまくやり過ごしていくか

情報自立=自我の維持や自分に有用な情報をいかに選択していくか

個人情報管理=人類総監視社会をどう泳いでいくか

肉体不活用=脳の肥大化と肉体的な衰えをどう管理するか

 

但し、いくらITが進んでも、絶対に変えられないリアルの価値は対面サービス

これは残る。

残るどころか、高付加価値化するだろう。

一方で、この領域は、IT駆使のような劇的コストダウンは望めない。

 

リアルとサイバーをどう組み合わせるか

が21世紀のマーケティング課題だ。

 

  

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